活動状況

2024年度春季(第50回)情報通信学会大会
研究会報告・特別報告

大会概要|→個人研究発表詳細|→ プログラム pdf

研究会報告

・10:30~12:00開催

研究会名 テーマ・発表者・要旨等
<コンテンツビジネス研究会> ■テーマ::コンテンツとしてのアイドル:可能性と課題

■発表者1
香月孝史(日本大学芸術学部非常勤講師)

■発表者2
上岡磨奈(慶應義塾大学文学部非常勤講師)

■討論者
関根禎嘉(慶應義塾大学大学院文学研究科)

■司会者
大場吾郎(佛教大学)

■報告要旨
日本のエンターテインメント界に「アイドル」が存在するようになって久しいが、メディア構造や情報流通に変化が起きる中でアイドルは多様化し、その作られ方や消費のされ方、あり方、ファンとの関係性などに大きな変容が生じてきた。今日ではライブイベントの隆盛はもちろん、テレビ番組からSNSでの投稿に至るまで様々なコンテンツにアイドルは遍在しており、その社会的および経済的影響力の大きさは関連市場規模やビジネス展開の拡大からも明らかであろう。今回の研究会ではアイドルに関する論考を数多く発表している2名の報告(香月孝史氏「『アイドル』概念の捉えにくさ:世間的なステレオタイプと職能」、上岡磨奈氏「アイドルの中のグラデーション:『売れる』とはどういうことか」)を通して、メディアコンテンツとしてのアイドルの可能性と課題について議論・検討する。
<放送制度研究会> ■テーマ::アジアの放送制度―日中韓の制度比較

■発表者
黄 仙惠(城西国際大学教授)
劉佳(中国 内江師範学院新聞学院副院長)

■討論者
 森由美子(東海大学 教授)

■司会者
菅谷実(慶應義塾大学名誉教授)

■報告要旨
2000年代初頭、「通信と放送の融合」が盛んに議論されていた時代には、地上波放送局は、自ら制作した番組をネット配信することには、否定的であり、ネット配信を認めることにより、地方局が立ち行かなくなるという議論が盛んであった。しかし、今日、現実の放送市場をみると、NHKプラスに代表されるような放送番組のネット配信に対する放送業界からの拒否反応はみられない。本研究会では、韓国と中国の地上波放送とネット系映像メディアの制度的基盤をみることにより、制度比較という観点から、日本の放送制度の現状と、本格的ネット配信時代に向けての方向性について議論を進めていきたい。
<モバイルコミュニケーション研究会> ■テーマ:リモートエスノグラフィの実践と課題

■報告者
大戸朋子(東京医科大学)

■討論者
 松下慶太(関西大学)

■司会者
伊藤耕太(関西大学非常勤講師)

■報告要旨
COVID-19のパンデミックは、調査者自身がフィールドに赴きデータを収集・分析するという研究方法、とりわけエスノグラフィの実施に大きな影響を与えた。しかしその一方で、フィールドの質的なデータを遠隔で収集し分析する方法についての検討が進められるきっかけともなった。例えば、360度カメラとVRゴーグルなどを使用することでフィールドを仮想的に体験する方法や、フィールドの人々と協働して情報収集や分析を実施するといった方法などである。本報告では、報告者がパンデミック時に実施したリモートエスノグラフィ調査を紹介するとともに、対象フィールドの質的な情報を遠隔で取得し分析する上での課題などについて考察する。

 

・12:00~13:30開催

研究会名 テーマ・発表者・要旨等
<インターネット政治研究会> ■テーマ::日本における偽・誤情報対策の現状と課題

■報告者1
恩賀一
(総務省情報流通行政局情報流通適正化推進室室長)

■報告要旨
インターネット上の偽・誤情報に関する総務省の主な
取組


近年、SNSや生成AI等の普及に伴いインターネット上で偽・誤情報等に接触する機会が国内外で増加している。そこで、我が国の取組のうち、総務省における令和6年度能登半島地震における状況や、今夏頃のとりまとめに向けて、インターネット上の偽・誤情報の流通・拡散に対する総合的な対策を検討中の有識者会議「デジタル空間における情報流通の健全性確保の在り方に関する検討会」における議論の状況等をご説明する。

■報告者2
田中辰雄
(横浜商科大学教授/国際大学GLOCOM主幹研究員)

■報告要旨
もう一つの偽情報対策―流言は知者に止まる

偽情報対策を考えるとき、誰もがすぐに挙げるのはファクトチェック機関とリテラシー教育である。この二つが重要であることは間違いないが、これらの対策には限界もある。特に「全くの虚偽とはいえないがひどく偏った情報(高バイアスニュース)」の対策としては、あまり役に立たない。そこで別の対策として、比較的信用のおける人(知者)を用意し、偽情報の流布を止める方法を考える。古来「流言は知者に止まる」と言われていたのをネット上で実現する。この対策のためには知者がネット上に居る必要があるが、そのための場所が現状では見当たらないという問題がある(→フォーラムの提案)。ただ、昨年よりXで稼働したコミュニティノートは、疑似的にこの知者の場所の役割を果たしていると解釈できる。ユーザへのサーベイ調査で、「流言は知者に止まる」型政策の実現可能性、ならびにコミュニティノートの評価について知見を得たので報告する。余裕があれば陰謀論についても触れる。

■討論者
 前嶋和弘(上智大学)、小笠原盛浩(東洋大学)

■司会者
清原聖子(明治大学)
<情報行動研究会> ■テーマ::子どもへのアンケート調査からみるGIGAスクール構想の課題

■報告者
田島祥(東海大学准教授)
山岡あゆち(東京大学特任講師)
劉沫妤(東京大学博士課程学生)
大野志郎(東京大学特任准教授)

■討論者
松本留奈(ベネッセ教育総合研究所)

■司会者
大野志郎(東京大学特任准教授)

■報告要旨
コロナ禍とGIGAスクール構想により、初等中等教育における情報環境は著しく変化しており、学校や家庭での情報機器利用の実態を把握することの重要性が増している。
この研究会では、東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所の共同研究として全国の小学生、中学生、高校生を対象として行われた大規模なアンケート調査によるデータを用い、教育の情報化に伴い子どもたちが直面する課題について検討する。
・クラウドを活用した協働的な学びの効果に対する児童生徒の認識(田島祥)
・子どもの家庭でのメディア利用時間とルール(山岡あゆち)
・子どものICT利用に関する教育的介入の役割とその予測要因に関する研究(劉沫妤)
・教育の情報化は学習意欲を向上させるか(大野志郎)

 

 

特別報告

報告タイトル 報告者

<特別報告>

令和5年度

通信利用動向調査について(仮)

 

川村 一郎

総務省 情報流通行政局 情報通信政策課

情報通信政策総合研究官