学会について

会長あいさつ

情報通信学会会長

早稲田大学国際学術院

大学院アジア太平洋研究科長・教授

三友 仁志 (みとも ひとし)

 2019年6月25日に発足しました新理事会で、互選により、会長に選出されました。2017年まで2期にわたり会長を務めており、再び会長職に就くことには躊躇がありましたが、学会の安定的な発展のためには、負担をなるべくかけずに次の世代にバトンタッチすることが必要であり、そのための環境を整えることを自身の世代の責務と考え、お引き受けいたしました。そのため、これまで学会をリードしてくださいました川崎前会長には、引き続き副会長として学会運営において指導的な役割を担っていただくことになりました。人口の減少や高齢化、長期にわたる経済の停滞など、学会をめぐる状況は変化しており、このような時期に運営を担うことの責任の重さに身の引き締まる思いでおります。
 今後2年の任期において、新たに選任されました18名の理事、10名の評議員、2名の監事、および2名の事務局員とともに、この学会の発展に尽力いたします。皆様には、いっそうのご支援、ご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
 情報通信は数少ない我が国の成長分野のひとつであり、GDPの10%を占めるまでに成長し、最も重要な産業の1つとなっております。経済の回復や地方創成といった国内の重要政策においても情報通信やメディアが果たす役割と責任はさらに大きくなっています。また、Society5.0やSDGs(Sustainable Development Goals)の達成に求められる持続可能かつインクルーシヴな成長は、世界の調和のとれた発展を実現するうえで不可欠であり、そこにおいても情報通信の貢献に対する期待は大きく、それゆえ、この学会の存在意義と責任も、それに比例していっそう大きくなるものと考えております。
 他方、近年、ナショナリズムやポピュリズムが台頭し、それに影響を受けて、自己中心的な考え方が影響力を強めています。個人の情報発信力はソーシャルメディアの発展により飛躍的に向上しましたが、このICT時代の新しいツールによって、人々の心を掴むことも可能になりました。世界各地で発生している社会的ムーブメントの背景にあるソーシャルメディアの影響力を無視することはできず、同時にマスメディアの役割を再確認する必要もあります。
技術トレンドが大きく変化し、AIなどのビッグデータ活用や、5G6Gおよび4K8Kなどの革新的技術は、放送と通信の新たな融合をもたらすとともに、セキュリティ対策やプライバシーなど解決すべき新たな問題も引き起こしています。本学会におきましても、こうした変化に適応しつつ、アカデミックとしての客観性を保ちながら、真理を追究することが重要となります。
 このような時代のニーズに合わせ、公益財団法人として果たすべき社会的責任のひとつとして、この学会が学術的立場から国の政策に貢献することも目指さなければなりません。さらには産業界や他学会とも連携して、実行力と影響力を伴う学会活動を目指すことも必要となります。
当学会では様々な分野の研究者が集まっております。研究の多様性はこの学会の強みでもあります。人文社会科学にとどまらず、工学やその他さまざまな学問分野との連携によって、この学会の強みがいかんなく発揮されるよう環境を整え、より多くの機会を提供し、会員の皆様にご活躍いただくことが、学会に課せられた使命と考えております。
 7年前に初めて会長に就任した際、本学会をいっそう発展させる上で、この学会が取り組むべき課題として、次の4点を挙げました。すなわち、(1)若い研究者にとって魅力ある学会活動の活性化、(2)会員の拡充、(3)学会活動の国際化、(4)関連諸機関との連携および産官学連携の確立、(5)財政の健全化です。これまでに、Springer社から学会英文ブックシリーズの刊行などいくつかの成果は挙げていますが、まだ十分に満足できるレベルにあるとは言えません。
 具体的には、研究発表および論文公表機会の拡充、英文による国際発信、研究会活動の活性化、アジア圏における定期的な国際カンファレンスの開催、学部学生や修士課程学生など若者が学会に参加する機会の提供、企業や行政との交流、顕彰活動などを通じて、会員サービスの充実を図ることが必要です。特に、若手研究者に充実した機会提供が不可欠です。また、学会財政に関しては、引き続きプロジェクトチームによる検討がなされており、何らかの将来ビジョンを示すことができると考えております。
当然ながら、こうした目標は一朝一夕に達成できるものではありませんが、着実にかつスピード感をもって進め、時代の変化に適応して学会の社会的使命を果たす所存です。皆様のよりいっそうのご協力をお願い申し上げます。