活動状況

情報通信経済法学研究会
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2016年度 第1回情報通信経済法学研究会

日 時 : 

2016年12月18日(日)14:00~17:00(予定)

場 所 : 

名古屋大学大学院法学研究科第1会議室(名古屋市千種区不老町)
*地図 http://www.nagoya-u.ac.jp/access/

招待講演1
テーマ: IoTおよびAIアプリケーションの社会的受容性
       Social Acceptability of IoT and AI Applications
講演者: 三友仁志(早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授、情報通信学会長)

招待講演2
テーマ: AIネットワーク化に関する社会的・経済的・倫理的・法的課題
講演者: 福田雅樹(総務省情報通信政策研究所調査研究部長)

要 旨: ICTのネットワーク化が止まるところを知らない。2045年にはコンピュータの能力が人間を超え、技術開発と進化の主役が人間からコンピュータに移る特異点(シンギュラリティ)に達するとも議論されるなど、その処理能力は加速度的に高まっている。また、IOTやヒトに係る情報を含む各種センシング技術の進化によって、無限と言って過大でない多種多様な情報が収集活用されるようになっている。ビッグデータ、人工知能、ロボット等を通じて、既に私たちはこれら技術の恩恵を既に受け始めている。しかしこれらは始まりであり、十年後、二十年後には、今の私たちにはSFとも思われる世界が広がっている可能性がある。この技術進歩は、社会をどのように変えていくのであろうか。新たな世界において、機械と人間の関係はどのように変化していくのか。私たちが新たな技術を使いこなすためには、何を考えておく必要があるのか。また、この技術進歩の中で主要プレーヤーの立場を確保しようとする動きが、欧米そしてアジア各国において官民を問わず進んでいる。ICT分野において世界をリードしてきた我が国が、この変化に正面から向き合い、更なる高みを求めていくためには何が必要か。このような問題意識を背景に、本研究会を開催する。
備 考 :本会合は名古屋大学大学院法学研究科・経済法研究室及び情報通信経済法学研究会がシンポジウムの形式により共催するものである。

 

 

2015年度 第2回情報通信経済法学研究会

日 時 : 

2015年12月12日(土)13:00~15:30(予定)

場 所 : 

名古屋大学東京オフィス(東京都千代田区丸の内二丁目5番2号三菱ビル11階1168区)
*地図
http://www.aip.nagoya-u.ac.jp/ru/tokyo_office/detail/0000077.html


テーマ : 「地区防災計画と情報通信 ~コミュニティの共助からICTの活用まで~」(仮題)

講演者・パネリスト(予定・一部変更の可能性あり):
       林 秀弥 名古屋大学大学院法学研究科教授・日本学術会議連携会員
       井上禎男 福岡大学法学部准教授
       澤田雅浩 長岡造形大学建築・環境デザイン学科准教授
       田中行男 一般財団関西情報センター専務理事
       守 茂昭 都市防災研究所上席研究員
       西澤雅道 元内閣府防災担当(内閣府大臣官房総務課企画調整官) ほか

 

 

 

要 旨 : 

内閣府地区防災計画モデル事業等で現場に入られた御経験等について話題提供をいただき、パネリストを交えて、多様な観点から、コミュニティの共助等地区防災計画制度の初歩的な問題から、ICTの活用の在り方等も意識して議論を行う予定です。

備  考 : 

本研究会は、地区防災計画学会研究会、名古屋大学経済法研究室及び情報通信学会情報通信経済法学研究会の共催となります。

参加費 : 

無料

申込方法 : 

件名を「情報通信経済法学研究会参加申込」とし、氏名、所属、連絡先(電子メールアドレスまたは電話番号)を明記の上、下記メールアドレス宛までお申込ください。

         kenkyukai@jsicr.jp

2015年度 第1回情報通信経済法学研究会

日 時 : 

2015年6月4日(木)17:00~19:00

場 所 : 

早稲田大学29-7号館2階222号室(東京都新宿区西早稲田1-3-10)

【テーマ1(招待講演)】

テーマ : 

欧州におけるインターネット・アクセス・サービスの実効速度計測に関わる法的側面

講演者 : 

佐々木 勉(Policy Research Unit代表)

要 旨 : 

インターネット・アクセス・サービスの実効速度計測は、サービス提供者が行ってきた広告速度の表示に対して、実際の速度を計測し実態を明らかにすることが、消費者保護、競争の促進あるいはネットワークの改善等に繋がるとして、欧州では、英国における2008年の計測を最初として、徐々に多くの国が取り組んで来ている。
そこで、報告は欧州主要国における実効速度計測の法的枠組、また計測結果を公表する際の実施枠組ないし法的措置の二点を探る。欧州の場合、実効速度計測の法的枠組は、欧州連合の2009年テレコム・パッケージ(特に、ユニバーサル・サービス指令)が出発点となる。ドイツではこれが2012年の電気通信法改正及び2013年の「エンドユーザー市場における透明性の促進と計測措置に関するエックプンクテ」、フランスでは2011年の電子通信に関するオルドナンス、2013年ARCEP決定、英国では2003年通信法である。次いで、結果公表については、ドイツの場合、2013年のエックプンクテのほかに2014年透明性規則(案)、フランスでは、2013年の省令、そして英国では、2008年の自発的実践規範が枠組を形成している。
報告の手順は、1)欧州における実効速度計測の現状、2)実効速度計測の法的枠組、3)結果表示の法的枠組、4)実効速度計測と他の政策措置とする。
報告により、欧州の取り組みがベスト・エフォートを基礎にしたインターネット・アクセス・サービスについて、実態に即したデータを作成し、それによって消費者保護を保護し、市場での競争に品質改善のインセンティブを与え、中長期的にネットワーク・インフラの投資促進を図ろうとしていることを明らかにする。また実効速度計測は、ブロードバンド・マップの作成、移動体カバレッジ義務の遵守に関わるエリア計測など行政による新たな指標計測措置として位置づけされ、さらにネット中立性の議論を絡めれば、一部の国において実効速度計測の中で中立性のチェックも行っていることも報告する。

キーワード : 

実効速度計測、ユニバーサル・サービス指令、自主規制、消費者保護、ブロードバンド速度

【テーマ2】

テーマ : 

先進諸国におけるブロードバンドの普及要因分析と競争政策に関する一考察

報告者 : 

篠原 聡兵衛(KDDI総研調査3部長、東京大学先端科学技術研究センター(博士課程))

要 旨 : 

 ブロードバンドの普及促進は世界各国における喫緊の政策課題である。本報告では、先進諸国における固定ブロードバンド及びモバイル・ブロードバンドそれぞれの普及要因を分析し特定する。この分析結果は、途上国を含めた諸外国におけるブロードバンドの普及促進政策に寄与するものである。併せて本報告では、分析結果により、先進諸国で課題となっている携帯会社の統合問題等を含め、ブロードバンド時代の競争政策に示唆を与える。
本報告では、本研究会が主として法学者により構成されることを踏まえ、ブロードバンドに関する普及要因の経済学的な分析に関する説明は最小限に留め、その分析結果から得られる事項等を中心に説明し、議論に供する予定である。

キーワード : 

ブロードバンド、FTTH、モバイル・ブロードバンド、普及要因、携帯会社の統合

2014年度 第1回情報通信経済法学研究会

日 時 : 

2014年12月13日(土)10:00~12:00

場 所 : 

名古屋大学大学院法学研究科905会議室(名古屋千種区不老町)

【テーマ1】

テーマ : 

台湾における無線ブロードバンドアクセス事業者の周波数免許更新拒否事件

報告者 : 

巫 昆霖(ウ クンリン)(名古屋大学大学院)

要 旨 : 

台湾・大同電信株式会社(以下、「大同電信」という)は、有効期間が2014年12月3日に満了する無線ブロードバンドアクセス(broadband wireless access。以下、「BWA」という)業務の周波数免許(割り当てられた電波の利用権)を更新するために、情報通信業の所管官庁である国家通信放送委員 会(以下、「NCC」という)に対して、免許の更新申請を行った。
NCCは、BWA業務の周波数免許について事業者からの更新申請が初めてであることから、まず事務レベル会議を4回開いて、免許更新の審査手続きを決定 した。その後、第一次審査としては「BWA業務免許の期間満了による更新に関する審査委員会」(以下「審査委員会」という)が5回も開催され、第5回会議 で、「BWA業務管理規則」第46条および「BWA業務免許の期間満了による更新審査に関する作業要項」第12条により、第一次審査の決議に基づき審査意 見書とその総括表を作成して密封の上、最終審査の権限を持つNCCの委員会議に提出した。8月20日のNCCの委員会議は、その総括表だけを開封し、第一 次審査の審査委員会の意見を踏まえて、大同電信の周波数免許の更新申請を拒否する決定を下して公表した。
拒否の主な理由は、大同電信の提出した事業計画書において、大同電信が免許期間内で設置する基地局の数を1837局にすると承諾したにもかかわらず、 2014年5月31日まで681局(全体の約三分の一)しか設置していないため、事業計画書の実施責任を履行していないとして拒否の決定がなされたという ものである。
しかしながら、この委員会議の決定に対して、副委員長の虞孝成氏と、委員の一人の彭心儀氏がそれぞれ反対意見書を出した一方で、委員長の石世豪氏は43ページにわたる同意意見書を提出した。
本報告は、本事件の背景、流れとその反対・同意意見を紹介・検討するものである。

キーワード : 

無線ブロードバンドアクセス、事業計画書、基地局

【テーマ2】

テーマ : 

指定電気通信設備との接続の請求に関連する諸制度に関する一考察
‐分岐端末回線単位接続請求拒否差止請求事件判決を題材に‐

報告者 : 

福田 雅樹(早稲田大学)、林 秀弥(名古屋大学)

要 旨 : 

ソフトバンクテレコム等がNTT東日本等に対し第一種指定電気通信設備たる加入者光回線設備についてOSU等を複数の事業者で共用することを前提として1 分岐端末回線単位での接続を請求したところ、NTT東日本等がこれを拒否した件に関し、ソフトバンクテレコム等が、NTT東日本等の行為が電気通信事業法 32条に規定する接続請求応諾義務(判決文中では「接続義務」と記されている。)に違反するものであり、不公正な取引方法に該当するものであるとして、独 占禁止法24条に基づき当該行為の差止めを請求する訴えを起こしていたところ、その判決が東京地方裁判所により平成26年6月に下された(東京地判平成 26年6月19日判時2232号102頁)。
本報告においては、この判決における議論を概観し、指定電気通信設備との接続の請求に関連する諸制度に関する論点を摘示し、若干の考察を行う。

キーワード : 

電気通信事業法、接続、指定電気通信設備、独占禁止法、差止請求

2013年度 第2回情報通信経済法学研究会

日 時 : 

2014年3月15日(土)13:30~15:30

場 所 : 

名古屋大学大学院法学研究科第2会議室(名古屋千種区不老町)

<シンポジウム> 東海地方から見た情報通信行政の現状と課題

【第一部】

招待講演: 

「東海4県における情報通信行政をめぐって-東海総合通信局の取組-」

講 師 : 

木村 順吾 氏(総務省東海総合通信局長)

概 要 : 

本講演では、東海4県(岐阜県、静岡県、愛知県、三重県)における通信サービス、ICTを利活用した地域づくり、放送サービス、無線局の有効利用等について、東海総合通信局の現下の取組を紹介し、その将来の課題を考える。

【第二部】

パネルディスカッション「東海地方から見た情報通信行政の現状と課題」

パネリスト: 

木村順吾氏(総務省東海総合通信局長)
林秀弥氏(名古屋大学)
福田雅樹氏(早稲田大学)

参加費 : 

無料

備 考 : 

本会合は、名古屋大学大学院法学研究科及び情報通信経済法学研究会がシンポジウムの形式により共催するものである。

2013年度 第1回研究会(学会大会)

日 時 : 

2013年6月23日(日)13:00〜15:00

場 所 : 

東洋大学 6号館 6208教室

<報告1>
米国eBay最高裁判決の4要件により競争者同士型の特許訴訟で差止めが否定された事例について :スマートフォンをめぐるアップル対サムスン特許訴訟の一断面

報告者 : 

林 秀弥(名古屋大学)

要 旨 : 

特許法の法目的は、発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、産業の発達に寄与することにある。そのための手段として、特許権は排他権として規 定されている。特許権を取得した者が、それを実施するための事業を営み、また実施することができていた状況下では、特許権者に排他権を付与したとしても、 それが産業の発達を促進し、阻害することはなかったため、排他権の付与は、産業の発達のための妥当な方策として、受け止められていた。一方、今日では知的 財産権の流通及び資産活用が活発化しており、特許権者の態様も非事業実施者を含む形で多様化している。また、電気・情報通信における標準化技術に代表され るように、共通の技術の利用が妨げられることにより、産業の発展が阻害され得る産業分野も見受けられる。特に標準規格必須特許の侵害を理由として、特許権 者が差止請求権を行使する場合、標準規格に準拠した事業を行う者は、設備投資等を行った事業の継続が困難となるため、特許権者に対して著しく不利な立場に あり、そのような権利行使は、その後の企業の経営や、当該標準規格の普及そのものにも悪影響を及ぼす虞がある。
以上の問題意識を背景に、本稿では、スマートフォンをめぐるアップル対サムスン特許訴訟を取り上げ、特許についての差止請求権行使の制限がどのような場合に認められるべきであるか等について、一定の方向性を見出そうとするものである

キーワード: 

スマートフォン、特許権、差止め、米国eBay最高裁判決

<報告2>
情報通信市場における「公正な競争」とは何か?

報告者 : 

林 秀弥(名古屋大学)

要 旨 : 

電気通信事業法は、その1条において、「この法律は、電気通信事業の公共性にかんがみ、その運営を適正かつ合理的なものとするとともに、その公正な競争を 促進することにより、電気通信役務の円滑な提供を確保するとともにその利用者の利益を保護し、もつて電気通信の健全な発達及び国民の利便の確保を図り、公 共の福祉を増進することを目的とする」と定め(下線部筆者)、「公正な競争」の促進を謳っている。しかし、電気通信事業における「公正な競争」がそもそも 何であるかは、論者の立場によってその理解が異なるため、共通諒解を見出せていないように見受けられる。本発表は、近時の隣接諸学の議論を探訪すること で、通信市場における「公正な競争」とはいかにあるべきかについて、若干の考察を行うものである。

キーワード: 

情報通信、公正競争、電気通信事業法、衡平性、効率性

<報告3>
電気通信事業法制における競争観の展開

報告者 : 

福田 雅樹(早稲田大学)

要 旨 : 

電気通信事業法制は、昭和60年の施行以来、電気通信事業の分野における競争の在り方に重要な関心を向けるものであることにおいては一貫している。とりわ け、「電気通信事業者間の公正な競争の促進」を提案理由の一つとして掲げた平成9年法律97号による改正後の電気通信事業法は、「公正な競争の促進」を指 導理念の一つとするものとして捉えることができるものとなっている。平成13年法律62号による改正後の電気通信事業法においては、同法が電気通信事業の 「公正な競争を促進する」ものであることが同法1条に謳われるに至り、法文上も明確になっている。しかしながら、そこで念頭に置かれる「競争」ないし「公 正な競争」という概念は、市場における競争の状況の展開はもとより、競争政策上の関心の展開に応じて展開してきたものと考えられる。
本報告は、電気通信事業法制における「競争」ないし「公正な競争」という概念の展開を考察する際の手掛かりを得ることを目的として、電気通信事業行政当局における競争観の展開を俯瞰するものである。

2012年度 第2回研究会

日 時 : 

平成25年2月24日(日)14:30~16:30

場 所 : 

名古屋大学文系総合館411教室(名古屋市千種区不老町)

テーマ1 : 

携帯電話2年定期契約の解約金訴訟(京都地裁判決は何故分かれたか?)

報告者 : 

武智 健二 氏(イー・アクセス株式会社執行役員副社長)

要 旨 : 

→発表資料(PDF)
利用者獲得競争の厳しい携帯電話業界において、NTTドコモ、KDDI及びソフトバンクモバイルの3社は、契約者維持を目的として、契約期間を2年とする定期契約について基本使用料を通常の半額とするサービスを提供している。しかし、契約期間内に利用者が契約を解約する場合には、特別の場合を除いて、解約金(又は解除料)を支払わなければならない。また、契約は自動更新制であり、更新時期の一定の期間内に解約を申し出ない限り、更新後に中途解約した場合も同様の解約金を支払わねばならない。
消費者契約法13条に基づく適格消費者団体である「特定非営利活動法人京都消費者契約ネットワーク」は、解約金条項が同法9条及び10条に違反して無効であるとして、上記3社を訴えた。
これら3件の訴訟に対して、いずれも京都地方裁判所において、NTTドコモの案件は平成24年3月28日に「原告の請求棄却」(解約金条項有効)、KDDIの案件は同年7月19日に「原告の請求一部認容」(解約金条項一部無効)及びソフトバンクモバイルの案件は同年11月20日に「原告の請求棄却」(解除料条項有効)の判決が下った。その後、NTTドコモの案件の控訴審において、大阪高等裁判所は、平成24年12月7日に「原告控訴人の請求棄却」(解約金条項有効)の判決を下した。 これらの判決は、結論の相違もさることながら、法律の適用に関する立論・構成の異同が興味深い。この報告では、争点における原告及び被告の対立点を整理し、各判決の論理を明らかにすることを目的とし、さらに解約金に対する通信政策的な意義についても考える。

テーマ2 : 

無線通信分野における企業結合に関する経済法上の諸問題

報告者 : 

林 秀弥 氏(名古屋大学)・福田 雅樹 氏(早稲田大学)

概 要 : 

ソフトバンク株式会社を株式交換完全親会社とし、イー・アクセス株式会社を株式交換完全子会社とする株式交換契約に基づく買収(以下「本件買収」とい う。)が行われた結果として、ソフトバンクグループ(ソフトバンクモバイル株式会社及びイー・アクセス株式会社)の利用可能周波数帯は大幅に拡大し、株式 会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ及びKDDI株式会社とほぼ同等となった。また、今後、ソフトバンクグループの両社においては、無線ネットワークの相互活用 (ローミング等)や、バックボーン、鉄塔等の共用を積極的に展開することが予想されている。これらのことから、本件買収が今後の無線通信分野における競争 に及ぼす影響については、今後の注目の対象となり得るものと考えられる。
本報告においては、本件買収をめぐり潜在的に問題となった無線通信分野における企業結合に関する経済法上の諸問題について、電波法、電気通信事業法、そして独占禁止法の見地から総合的に検討を行う。

2012年度 第1回研究会

日 時 : 

平成24年6月24日(日)午後1時〜2時30分まで

場 所 : 

国際教養大学(秋田県秋田市雄和椿川字奥椿岱)

テーマ1 : 

プラットフォームから見た英国ICT市場

報告者 : 

林 秀弥 氏(名古屋大学)

要 旨 : 

2011年第1四半期末現在、英国の地デジ世帯普及率は93%に達しており、英国の地デジ市場全体のパイの拡大は終焉を迎えつつある。こうしたなか、プ ラットフォーム事業者であるBSkyBやVirgin Mediaは、なお加入者数を増加させており、地デジ化を後押ししている。また、プラットフォーム事業者は、インターネット機能やオンデマンドコンテンツ へのアクセスを可能とした新サービスを次々と開始している。たとえば、BSkyBとVirgin Mediaはともに3Dコンテンツの提供を一般消費者向けに2010年から開始している。また、オンデマンドサービスについては、プラットフォーム事業者 だけでなく、放送事業者が自ら実施しており、BBCの iPlayerに限った場合、9割がオンデマンド利用であり、サイマル視聴者は1割と少ない。このように、インターネットを通じたTV視聴者が着実に増加 している。2008年に始まったBBCのオンデマンド配信は順調に拡大し、今や多数のプラットフォームと約300種類の機器で利用可能となっている。この 間のメディアと技術のめまぐるしい変化を考慮し、BBCトラストでは2010年にオンデマンド配信に関するガイドライン(Policy on the syndication of BBC on-demand content)の見直しを開始している。
モバイルサイト上のプラットフォーム事業者についてはどうか。シェアでみると、利用時間では、Facebookが他を圧倒し、利用者数では、 Google950万人、Facebook750万人と拮抗している(2010年12月)。他方、ウェブサイト上のプラットフォーム事業についてはどう か。シェアでみると、利用者数ではGoogleが3200万人と Facebookの2660万人を上回っているが、逆に、利用時間数では、Googleが計2880万時間と、Facebookの計16930万時間を大 きく下回っている(2011年4月)。これは、FacebookがSNSの利用時間の90%超を独占していることにあり、同社はeメールサービスやゲー ム、ビデオコンテンツも提供しており、もはやSNSの枠を越えて、ポータルサイトへと移行しつつある。
本報告では、上記のような各種データから見えてくる英国ICT市場におけるプラットフォーム事業の現況と今後の展望について、若干の検討を行う。

テーマ2 : 

米国における価格圧搾に対する規律に関する一考察

報告者 : 

福田 雅樹 氏(早稲田大学)

概 要 : 

価格圧搾とは、川上市場と川下市場の関係にある二つの市場の双方において事業を営む事業者が川上市場において供給する商品又は役務(以下「商品等」とい う。)の価格について、自らが川下市場において供給する商品等の価格を上回るものとし、又は両価格間の差を小さくすることにより、川下市場において自らの 競争関係にある他の事業者が経済合理性のある事業活動によっては対抗する余地がないようにすることをいう。
価格圧搾は、川上市場における商品等の取引に関連する行為であることにおいては単独取引拒絶と類し、川下市場における商品等の価格に関連する行為であるこ とにおいては略奪的価格設定と類するものであるほか、関連する二つの商品等の価格間の関係に関連する行為であることにおいては一括割引及び抱き合わせとも 類するものである。これらのことから、価格圧搾に対する一般競争法(米国の反トラスト法、EUのEU機能条約の競争関連規定、我が国の独占禁止法)の規定 による規律における違法性評価基準は、単独取引拒絶、略奪的価格設定、一括割引等に対する違法性評価基準との異同が問われることとなる。
価格圧搾と一般競争法の規定による規律との関係については、米国においては2009年2月に、EUにおいては2010年10月に、我が国においては同年 12月に、それぞれの画期をなす判決がそれぞれの最上級審の裁判所(米国の連邦最高裁判所、EUの司法裁判所、我が国の最高裁判所)によって下されてい る。これらの判決は、そのいずれもが、電気通信事業者であってその業務区域における固定端末系伝送路設備の多くを設置する者による価格圧搾が取り沙汰され た事件に関する判決である。
この報告においては、米国における価格圧搾に対する反トラスト法の規定による規律に関し、上述の2009年2月の連邦最高裁判所による判決(リンクライン事件)、その前後の下級審の裁判例、学説等を俯瞰し、論点を整理した上で、若干の考察を行う。

2011年度 第1回研究会

日 時 : 

10月8日(土)13:00~17:00

場 所 : 

名古屋大学大学院法学研究科905号室(名古屋市千種区不老町)

テーマ : 

Competition, Regulation, and Consumer Protection in Japan’s Telecommunications

講師・パネリスト: 

林 秀弥氏(名古屋大学)
富岡 秀夫氏(総務省)
中崎 尚氏(弁護士)
板倉 陽一郎氏(弁護士)
福田 雅樹氏(早稲田大学)

概 要 : 

情報通信技術の急速な発展は、世界規模での急激かつ大幅な社会経済構造の変化を生じさせるとともに、情報通信市場における競争をも国際的規模で、かつ質的にも変化させつつある。
このような状況の下で、事業者による市場支配的地位の人為的な形成、市場支配的地位の濫用等をどのように抑止し、公正かつ自由な競争を維持・促進していくかが、先進諸国に共通する一般競争法上の課題とされている。
また、事業規制法についても、事業者の投資インセンティブを損なわず、かつ、インフラ及びサービスの両面において健全な競争をもたらすような市場の枠組み の形成の在り方、その枠組みの下における競争の実効性を確保するためのアプローチの在り方等が、今日的な課題として改めて問われている。
加えて、情報通信市場においては、消費者保護の観点もまた重要である。例えば、個人情報保護に関し、OECD、EU等様々な場で進められている議論を踏まえつつ、国際的な協調の下に推進していくことが、今求められていることといえよう。
本会合では、上記の多元的な諸問題に関し、各講師による報告と参加者による討論を通じて、領域横断的に検討を行う。

備 考 : 

本会合は、名古屋大学大学院法学研究科及び情報通信経済法学研究会がシンポジウムの形式により共催するものである。