活動状況

2022年度春季(第46回)情報通信学会大会
研究会報告・特別報告

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研究会報告

研究会 発表タイトル 発表者

<情報行動研究会>

コロナ禍2年での行動変化と「うわさ」接触の分析

■報告者
篠田詩織(NTT社会情報研究所)
大野志郎(東京大学)
天野美穂子(東京家政大学)
堀川裕介(早稲田大学)
橋元良明(東京女子大学)

■討論者
松田美佐 (中央大学)


■司会者
橋元良明 (東京女子大学)

 

■概要
報告者らのグループは、2022年3月8日-11日、コロナ禍第6波が続く中、新型コロナに関連する日本人の意識・行動調査を実施した(ネット調査、有効回答数2,449)。これまで東京女子大学とNTTの共同研究という形で、2020年4月、2021年1月、2021年3月(29カ国国際比較)と、今回もあわせ計4回のコロナ関連調査を実施してきた。本報告では、メディア一般の利用状況、ネットの利用状況、遠隔勤務の実態等について人々の行動の2年間の変化をたどるとともに、とくにコロナに関連するデマ、フェイクニュースに関する分析結果を報告する。
今回の調査では、新型コロナワクチンに関して出回っていた陰謀論、不妊論、遺伝子変化論の3種類のうわさについて、見聞きしたことがあるか、見聞きしたときに本当だと思ったか、現在も本当だと思うか、見聞きした媒体、拡散方法、本当ではないと思うようになった経緯等を調査した。その結果、3種類のうわさでは、見聞きした媒体、拡散方法の傾向が異なること等が明らかになった。また、これらのうわさを真実だと思っている人に対しては、そうしたうわさのネット上での投稿に「真実ではない可能性」「適切な情報源も参照のこと」と注意書きを付与しても、信じていない人より効果が低いことも明らかになった。

<情報社会研究会>

障害者や高齢者が自立した生活を送るための情報アクセシビリティの必要性

■報告者
中村広幸(芝浦工業大学)
星野雅人(芝浦工業大学院生)
 

■概要
本年5月に衆院本会議において「障害者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律(障害者情報アクセシビリティコミュニケーション施策推進法)」が成立しました。
本法律は、障害があることによる「情報格差」の解消を目指す法律で、すべての障害者が等しく情報を取得できるよう国や自治体が施策を進める責務を明記したものです。
国際社会の一員としてわが国も、障害者や高齢者の情報アクセシビリティの保障をめざす歩みを(遅々としてですが)進めています。
また、障害者や高齢者が自立(自律)した生活を営んでいく“Independent Living”は高齢社会の重要なキーワードとなってきています。情報通信分野においてできることは数多いですが、近年注目されてきているスマートホームもその一つです。
本研究会では、3月にアメリカで行われた“Technology and Persons with Disabilities Conference”で行われた議論のうち、ポイントとなる点について報告するとともに、北米におけるスマートホームの事例調査を報告します。

<地域5G研究会>

スマホ向け5Gの利用者動向-日本・韓国・中国の国際比較-

■報告者
米谷南海 (マルチメディア振興センター)

 

■コメンテータ
華金玲 (慶應義塾大学)、趙章恩 (KDDI総合研究所)

■司会
菅谷実(慶應義塾大学)

■概要
本研究会報告では、日本、韓国、中国における一般ユーザがスマートフォン向け5G(以下5Gとする)をどのように利用しているのか、その実態を解明し、各国の特徴を描き出すことを試みる。世界でも早い時期に5Gネットワークを展開した3か国では、「超高速」、「超低遅延」、「多数同時接続」といった5Gの恩恵を享受できる環境が整いつつあるが、その利用率や評価は三者三様である。その背景にはどのような要因があるのだろうか。2021年に各国首都圏で実施したアンケート調査や文献調査から得られたデータをもとに考察し、報告する。

<モバイルコミュニケーション研究会> 報告1
セカンドオフライン社会における時間と場所の感覚変容


報告者:富田英典(関西大学)

報告概要:モバイル通信技術の発達により日本社会はサイバー空間とフィジカル空間が融合したSociety 5.0へ移行しつつある。本研究ではそのような社会をセカンドオフライン社会と呼んできた。本研究ではそこで生まれる時間と場所の感覚変容を考察する。この感覚変容はモバイル通信機器の持つ同期と複製の機能により異なる時間と場所が重なることによって発生する。本報告では、Scott W. CampbellのSocialityとSpatiality、Jordan Frith らのSpatial Enhancementなどの概念、富田らのSecond Offline概念、Time travelアプリの事例などを手掛かりに時間と場所の感覚変容について考察する。

■報告2
国際博覧会とモバイルメディア——公式モバイルアプリの変遷からの考察

報告者:岡田朋之(関西大学)

報告概要:国際博覧会(万博)は、1876年フィラデルフィア万博におけるグラハム・ベルの電話の公開や、1889年パリ万博でのエジソンの改良型蓄音機の発表などに代表されるように、長らく新しいメディアの発明品を披露する場となってきた。モバイルメディアに関しては、1970年大阪万博で当時の電電公社が電気通信館で公開した「ワイヤレステレホン」がその初舞台として一般には知られるところである。本報告では、モバイルメディアをはじめとするICT(Information Communication Technology)の発展とともに変容を遂げる万博の現状を、情報交流プラットフォームの変化と位置づけ、2012年麗水万博(韓国)に始まり、直近で開催されたドバイ万博(アラブ首長国連邦、2021〜22年)に至る万博公式アプリの変遷を軸に考察していく。

■報告3
メタバース時代のリアルの諸相


報告者:吉田達(東京経済大学)

報告概要:2020年来のコロナ禍が私たちに遠隔授業やテレワークを強要し、生活空間に「公」と「私」が重畳する状況を作り出してきたことは、情報環境による現実の拡張に対する一般的な認識に少なからぬ影響と変容をもたらした。家庭の中に職場や教室などが侵食してきたことに伴う混乱やVR系コミュニケーションのビジネス空間への適応試行といった諸状況は、セカンドオフラインや2020年代の「仮想」と「現実」などを考える格好の素材になる。本報告では、メタバースへの「再」注目に代表される2022年上四半期前後でのバーチャル空間に関する話題を軸に、富田らが2022年3月に刊行した『セカンドオフラインの世界』(恒星社厚生閣)の第6章「電子情報が拡張するモノ」での論考を、追加整理・展開する。

■司会
小笠原盛浩(東洋大学)

 

特別報告

報告タイトル 報告者

<特別報告>

統計からみた我が国のICTの現状

 

総務省 情報流通行政局 情報通信政策課 情報通信経済室
課長補佐 井戸 佳予子