活動状況

インターネット政治研究会

主 査 :  清原聖子

幹 事 :  前嶋和弘、李洪千

研究会主旨: 

本研究会は、インターネットが選挙キャンペーンや市民の政治活動にどのような影響を与えるのか、そしてインターネットは政治をどのように変えていくのか、という問題について学際的に検討することを目的とする。国際的な研究会でありながら、将来この分野の研究に進みたい若手研究者、大学院生や大学生にとっても参加しやすい研究会としていきたい。

第3回インターネット政治研究会 (2017年度第2回)

日 時 : 

 2017年9月29日(金) 午後6時~午後7時半(午後5時半開場)

場 所 : 

 明治大学駿河台キャンパスリバティタワー1124教室

報告内容 :

 「日本のネット選挙運動とメディア環境」

報告者:  小笠原盛浩(関西大学社会学部准教授)

討論者:  前田明彦(Yahoo!ニュース みんなの政治プロジェクトマネージャー)

開催報告: 2017年9月29日、明治大学駿河台キャンパスにて、第3回インターネット政治研究会「日本のネット選挙運動とメディア環境」を開催した。 第3回インターネット政治研究会
 報告者の小笠原盛浩氏(関西大学社会学部准教授)は、日米韓台のメディア環境の比較分析結果にもとづいて、ソーシャルメディアの普及率が低く、ニュース共有等の利用に消極的な日本は、米韓台と比較してネット選挙運動に適したメディア環境とは言えないと指摘した。続いて2013、2014、2016年国政選挙時のオンライン調査データの時系列分析結果にもとづき、以下の4点を指摘した。①ネット選挙運動への接触は投票行動・政党支持態度の変化との間に統計的に有意な関連があるが、接触率が低水準のため、ネット選挙運動が原因であったとしてもマクロレベルの大きな変化は期待しづらい、②ネット選挙運動接触と重要争点認知の変化との間には有意な関連がなく、ネット選挙運動で発信されている情報に争点・政策関連の内容が乏しかったと推測される、③保守革新傾向では回答者が中央に集中し、同傾向とメディア信頼との間にも関連が見らないため、米国のような政治的分極化は現時点では生じていない、④2013・2016年ではオリエンテーション欲求が高い人々のネット選挙運動接触率が高く、選択的接触やフィルターバブルが懸念される。
 討論者の前田明彦氏(Yahoo!ニュース みんなの政治プロジェクトマネージャー)は、政治家のインターネット利用実態を踏まえて報告者の指摘のいくつかを裏付けた。①ふだんからアクティブにブログやツイッター等を使って情報発信している政治家は2割程度しかいない、②選挙期間中に行われる情報発信は街頭演説を案内するテキスト情報が大半であり、政策・争点関連情報が乏しいこと、③ソーシャルメディアのアルゴリズムによれば画像付き投稿、クリックが多い投稿が上に表示されやすくなるが、面白みのない街頭演説案内のテキスト情報はどちらにも該当せず、クリックされないためさらに表示されにくくなる悪循環に陥っている。
 フロアとの議論では、ネット選挙運動が全般に不活発であったこれまでの傾向が今後変化する可能性や、有権者がネット選挙運動への接触に消極的な理由などについて様々な意見が交わされた。政治に対する関心の低さが指摘されるとともに、Yahoo!ニュースなどポータルが有権者の政治関心を高める取り組みにも紹介された。参加者からは有権者からみたネット選挙運動の概況とトレンドをよく理解できたとのコメントや、調査データ分析についてスマホ・ソーシャルメディアを日常的に駆使する若年層の特徴をもっと知りたいとの要望が寄せられた。

第3回インターネット政治研究会の様子