活動状況

インターネット政治研究会

主 査 :  清原聖子

幹 事 :  前嶋和弘、李洪千

研究会主旨: 

本研究会は、インターネットが選挙キャンペーンや市民の政治活動にどのような影響を与えるのか、そしてインターネットは政治をどのように変えていくのか、という問題について学際的に検討することを目的とする。国際的な研究会でありながら、将来この分野の研究に進みたい若手研究者、大学院生や大学生にとっても参加しやすい研究会としていきたい。

第6回インターネット政治研究会(2018年度第2回)  
「米韓で進むフェイクニュース対策:新たな規制導入か?」

日時: 2018年11月17日(土) 15:15~16:45
場所: 東京大学駒場IIキャンパス3号館南棟 M251教室
司会: 清原聖子(明治大学情報コミュニケーション学部准教授)

開催報告:
2018年11月17日、2018年度秋季(第39回)情報通信学会大会にて、「米韓で進むフェイクニュース対策:新たな規制導入か?」をテーマに、インターネット政治研究会を開催した。春季大会において、研究会として米韓におけるフェイクニュースの拡散メカニズムについて議論を行ったことに続いて、今回はフェイクニュースの対策について討論を行うこととした。

 初めに、李洪千准教授(東京都市大学メディア情報学部)より、韓国におけるフェイクニュースの法的規制の動きについて説明があった。韓国ではフェイクニュースをガチャニュースと呼び、その制作、拡散者を処罰し、またガチャニュースを放置するプラットフォームへの対応が求められているという。公職選挙法や情報通信網、言論仲裁法の改正案というように、すでに国会で合計22本の法改正案が発議されたと報告があった。しかし、ガチャニュースをどのように定義するのか、「ガチャ」の意味が広すぎることが問題となっている。また、プラットフォームに対する規制の妥当性や表現の自由の問題が問われている、と指摘がなされた。

李准教授の報告の模様

(李准教授の報告の模様)

 次に、ミラー・ジェームズ氏(米連邦通信員会技術工学部弁護士)もフェイクニュースの定義が難しいと述べた。そして、デジタルコンテンツをAIによるコンテンツ識別機能に頼って識別することに対し、技術的な難しさを指摘した。それではどうするのか。識別機能を生かす法制度の改正が必要と言う。それには、セクター方式で対応することが必要であると述べ、2016年大統領選へのフェイクニュースの影響を考え、たとえば、アメリカでは選挙法の改正が必要だと指摘した。

ミラー氏の報告の模様

(ミラー氏の報告の模様)

 二人の報告に続いて、討論者の中溝和孝氏(総務省総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政第二課長)は、フェイクニュースが問題になる以前からオンライン上でのデマ、誇大情報は存在したと述べた上で、これまでとの違いが生まれている背景について、ネットメディアの拡大とスマホの普及を挙げた。またオンライン上の情報はオフライン上よりも目立たせる傾向があり、見出しが誇大化する(誇大情報になる)可能性が高いと指摘し、コミュニケーションを促進する機能がフェイクニュースを増やしている、と述べた。

中溝氏から李准教授へ、「フェイクニュースの定義が困難ではないか」という質問に対し、李准教授は「形式と内容を意図的に間違った」という点を問題視していると答えた。また、中溝氏はミラー氏に対して、「プラットフォーマーの役割と発信者の役割のバランスはどうあるべきか」という質問を投げかけ、ミラー氏は「セクターごとに考えると、被害や要因も様々であるため、プラットフォーマーに一義的な責任はない」と答えた。

研究会には、学部生からIT企業の実務家も含め、17人が参加した。フロアからも質問が寄せられ、終了後もパネリストとの名刺交換を行う方が多く、会場撤収時間ぎりぎりまで会場は賑わった。