活動状況

デジタル・エコシステム研究会 過去の研究会

2020年度 第2回 デジタル・エコシステム研究会

日 時 : 

2021年3月10日(水)14:00~16:00

場 所: オンライン開催(Zoom使用)

テーマ: 「キャラ縁」の聖地~現実と仮想(虚構)を架橋する「キャラ」~

報告者: 谷村 要(大手前学園大手前大学メディア・芸術学部 准教授)

報告内容:

近年の「アニメ聖地」においては、アニメやマンガ作中において明示的に登場しないにもかかわらず「聖地」と化している地域がみられる。2020年に大ヒットした『鬼滅の刃』の聖地とされる場所(「鬼滅聖地」)はその代表例といえるが、本報告では、報告者が2016年以降に調査を進めてきた静岡県沼津市の事例をもとにその形成の過程を分析したい。
なお、分析にあたっては、伊藤剛がマンガ表現をとらえる際に用いた「キャラ」概念を援用する。伊藤のいう「キャラ」概念は「キャラクター」と区別されるもので、キャラクターを構成する特徴のある要素を意味する。この「キャラ」の存在感をファンが深く読み込むことによって、キャラクターの二次創作がなされることを伊藤は指摘したが、「聖地巡礼」も、ファンが作品の構成要素を読み込むことで「聖地」を見出している様子がうかがえる。現実の場と作品世界がどのように結び付けられているか。地域の活性化への実践やファンの「読み」によってつくられる「キャラ縁」の聖地の実態と今後について議論したい。

2020年度 第1回 デジタル・エコシステム研究会

日 時 : 

2021年1月26日(火)16:30~18:00

場 所: オンライン開催(Microsoft Teams使用)

テーマ: 「同時配信・見逃し配信 NHKプラスについての現状や課題」

講演者: 赤岩 勇二 氏(NHKデジタルセンター専任局長)

〇講演者プロフィール:
兵庫県出身。1989年(平成元年)、NHKに記者として入局。
鳥取放送局、報道局政治部、大阪放送局報道部などで勤務し、2019年(令和元年)に本部デジタルセンターに異動。
2020年(令和2年)からデジタルセンター専任局長としてNHKプラスなどを担当。デジタルセンターに配属されるまでは30年間、報道部門での業務に携わってきた。


講演概要:

「NHKプラスの概況について」
常時同時配信・見逃し番組配信(サービス名「NHKプラス」)は、2020年3月に試行的に実施したのち、4月から本格的なサービスを開始しました。
より多くの皆さまにNHKの番組に触れていただくことを目指して、放送に加えてインターネットでも視聴できるサービスとして実施しており、パソコン、スマホ、タブレットで、いつでもどこでも利用していただくことができます。
2020年12月末までのID登録の申請は130万件あまり、登録数は105万件あまりとなっており、現場では、手応えを感じると同時に、もっと多くの方に登録していただくとともに、「普段使い」していただけるよう、サービスの向上、改善に努めていかなければならないと感じています。
これまでの現状と2年目に向けた取り組みなどをご説明させていただき、皆さまからご意見たまわれれば幸いです。

NHKデジタルセンター専任局長 赤岩勇二

 

2019年度 第2回 デジタル・エコシステム研究会

日 時 : 

2020年1月31日(金)18:00~20:00

場 所 : 

関西大学梅田キャンパス7階 603室
       (大阪市北区鶴野町1番5号 )

       アクセスURL: http://www.kansai-u.ac.jp/umeda/access/

テーマ: 「中国における自媒体の発展とジャーナリズム」

報告者: 巍巍(ウェイウェイ)(関西大学大学院)
モデレーター: 岡田朋之(関西大学)


報告概要: 中国では2010年代以降、微博(Weibo)や微信(WeChat)等のSNSの急速な発展と拡大にともなって、これらのサービスをプラットフォームとして展開する個人ベースの情報発信が「自媒体」と呼ばれるようになり、大きなブームとなった。非専門家ユーザーによる「自媒体」を通じたジャーナリズムは、それまでの掲示板やブログを中心としたネット世論の展開に新たな局面をもたらしている。本報告では、この自媒体の発展の経緯や現状を明らかにしつつ、いくつかのネット事件の事例をもとに、自媒体がニューメディアのジャーナリズムとしてどのように機能しているのか、その可能性と限界について検討したい。

 

参加費 :無料

申込方法 :件名を「デジタル・エコシステム研究会参加申込」とし、氏名、所属、連絡先(電子メールアドレスまたは電話番号)を明記の上、下記メールアドレス宛までお申込ください。kenkyukai@jsicr.jp

 

2018年度 第2回 デジタル・エコシステム研究会

日 時 : 

2019年3月26日(火)17:00~19:00

場 所 : 

関西大学梅田キャンパス 7階701室

       アクセスURL: http://www.kansai-u.ac.jp/umeda/access/

テーマ: 「radikoの進化とアーティストコモンズによる独自のメディアエコシステム形成の可能性」

報告者: 三浦文夫氏 (関西大学社会学部教授)
モデレーター: 長谷川想氏 (株式会社電通関西支社MCソリューション局)

報告内容: 関西大学の三浦でございます。自己紹介しますと、もともと広告代理店の電通で、営業を長く担当、この他、テレビやインターネットビジネスの担当をしておりました。本日はよろしくお願いいたします。
さて、メディアプラットフォームの構築にあたっては、まず最も大事なものはビジョンです。それを具現化するものとして、技術、権利処理、ビジネスモデルが重要と考えております。私が関わりましたRadikoについては、「ラジオを中心とした音の世界によって喚起される想像の世界を広げ、新しい文化、経済、コミュニケーションを育むオーディオ・プラットフォームを目指す」というものでした。また個人的には、「新しい音楽に出会う機会を創る」というものもありました。私個人の話をしますと、子供のころからラジオに接する機会も多く、ラジオそのものを自分で作る、そこからアマチュア無線などにも興味をもつようになったような背景も持っております。

 ところでラジオについては、特に2000年以降、ラジオ受信機の減少、都市部の高層建築などの影響からの受信状況の悪化、若者層のラジオ離れなど、厳しい環境にあることは事実です。そこで、ラジオ放送を、インターネットを通じて受信できれば、パソコンがラジオ受信機になり、リスナーの聴取機会も増え、都市部の難聴取対策にもなると考えました。結果的には、2005年、AM、FMとも雑音のないステレオ音声を楽しむことができるIPサイマルラジオプロジェクトを開始することにいたりました。

 2005年のプロジェクト開始にあたり、私自身にとって重要なイベントとして1995年11月のAPEC大阪会議があります。この会議を機に、ネットワーク技術、放送技術、コンテンツ、広告などの様々な関係者が集まり、サイバー関西プロジェクトが発足、IPサイマルラジオ配信の実験を行いました。振り返りますと、ここでの人脈や経験がその後非常に役に立ったと考えております。ところで、このプロジェクト発足後、各方面から「放送法に抵触するのではないか」「音楽やスポーツなどの権利者の許諾はとれないよ」「AMリスナーは、インターネットを通じてラジオは聴かない」などの多くの否定的な意見が多く寄せられました。

 2005年のプロジェット発足後、2007年7月にはIPラジオ研究協議会が発足し、大阪ラジオ6局と電通が参加、会長には大阪大学の宮原総長(当時)に就任いただきました。その後2008年4月に実験開始、radikoが誕生、開始当初の登録ユーザー数は、1,000人程度でした。2009年3月まで実験を行ったのですが、音が良いと評判で、継続聴取希望も比較的高く、AMラジオのユーザーが多い結果となりました。当時は、IPv6マルチキャスト方式を採用したため、NTTフレッツ光プレミアム+Windows Vistaなどの利用環境が必要となり利用者が限定されておりましたが、IPv4ユニキャスト方式に変更し、WindowsやMacなどのPCやスマートフォンにも対応するなど、アーキテクチャーを変更し幅広いユーザーの獲得に成功しました。

 この時点、冒頭申し上げたメディアプラットフォームとしてのありようとして、技術はIPv4ユニキャスト、権利処理はインタラクティブ配信のためすべて必要、ビジネスモデルとしてはすべて参加放送局負担というものでした。ところでIPサイマルラジオ放送の権利許諾について、主体が各放送局なのか、プラットフォーム(radiko)なのか明確ではありませんした。その対応にあたり、音楽関係はJASRACなどの団体により集中管理されていましたが、タレント、アーチティスト、広告、スポーツ、気象情報など様々なコンテンツについては、権利処理の取り扱いについて一元的に仕組化がされている状況ではありませんでしたが、実験実施に際しては慎重を期して丁寧に説明をしていく方針を取りました。

 その後、2010年3月から東京のラジオ8局と大阪ラジオ6局が試験配信を経て、2010年12月より本配信が開始され、同時に株式会社radikoが誕生しました。さらに、2014年4月には、エリアフリー(域外のラジオ放送を聴取できるサービス)を開始、月額350年を支払ったプレミアム会員が利用可能となりました。さらには2016年10月には、タイムフリー、シェアラジオの実証実験を開始いたしました。radikoにつきましては2019年3月現在、民放連加盟ラジオ局101局のうち93局が参加、またNHKも配信実験ののちに、2019年4月から正式参加となりました。一日当たりのアクティブユーザー数は約130万人、アプリのダウンロード数は累計3000万、プレミアム会員(月額350年)は、約58万人となりました。

 ところで、radikoに関するものだけではなく、ラジオそのものの価値を再発見する活動を私は行っております。2013年~2016年にかけて、民放連の「ラジオ再価値化研究グループ」の座長に就任し、「シェアラジオ」(タイムフリー)、「ハイブリッドラジオ」、「プログラマティックアド」、「共通音源システム」などに取り組んできました。

  「シェアラジオ」については、2016年10月から実験を行っていますが、対象の番組について、一定の期間、音源をそのままSNS上などでシェアできるものです。開始にあたっての権利処理では、当初のradiko以上に調整が必要な局面もありました。「ハイブリッドラジオ」は、「ラジスマ」という名称で、2019年3月6日にリリースを行いましたが、電波経由とインターネット経由の双方で、ラジオ放送を聴取可能なものとなっております。電池やパケットの消費の観点から、災害時などで有効なものとなると考えております。「プログラマティックアド」については、DMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)を活用し、聴取するユーザーによって同じ時間帯の放送でも、広告を聴取者によって出しわけるというものになります。現在実証実験中となりますが、マス広告のブランディング効果とインターネット広告の効率的なレスポンス獲得効果の良いところを組み合わせて、ブラッシュアップしていく計画です。最後の「共通音源システム」については、ラジオ放送局のインフラに関する設備投資をできるだけ共有、共通化し、設備投資が経営に与える影響を軽減するというものです。Radikoについては様々な外部のデバイスやシステムと連携をしつつあり、Alexaのスマートスピーカーでの聴取も非常に人気も高く、また5Gを活用し、車載デバイスとの連携もより具体的に検討されつつあります。

さて、冒頭申し上げましたが、ラジオの価値として新しい音楽に出会うというものを私は大事にしてきました。例えばラジオ番組で気に入った音楽に出会ったら、音源の購入、ライブやコンサートの情報取得やチケットの購入などができる、そういった音楽マーケット拡大のエコシステムへの展望を持ち始めました。それに際しては、メタデータの整備が重要と考えております。番組IDに関してはradikoで策定中、アーティストに関しては主な音楽権利者団体と共同で、アーティストID(ACID)を共同で作成中、さらに楽曲IDについてはISRCなどが活用できると考えております。

 さて、アーティストに関して、その才能と魅力を広く知らしめ、その付加価値を最大化することにより、エンタテインメント産業文化振興とその継承・保全への貢献を目的として「アーティストコモンズ」実証連絡会を2014年10月設立いたしました。代表は、中井猛スペースシャワーネットワーク相談役、私は慶大中村伊知哉教授とともに幹事に就任し、各音楽権利者団体などが参加いたしました。アーティストコモンズの基本的な事業は、一意に識別可能なアーティストID(AC-ID)を付番管理することです。また、様々なメディアやサービス連携することを可能にするAPIの開発や提供、またアーティストオフィシャルプロフィール、写真の提供も手掛けていきます。AC-IDは音楽関連のアーティストを中心に付番しておりますが、タレント、俳優、スポーツ選手、著名人などに広げていくことをめざしております。

アーティストコモンズの機能効果として、正確なアーティスト関連サービスの利用状況の把握、不正利用の防止につながる情報ハブ(indexer)があります。今後は、ライブビューイング、音楽サブスクリプション、イベント・チケット、マーチャンダイジングなどに活用できる基礎的なインフラとして活用できると考えております。これらの取り組みを通じて、GAFAと呼ばれるメガプラットフォームとは異なるエコシステム形成を目指していきます。なおradikoでは、2019年2月18日から試験サービスを開始し、オンエア楽曲に連動した、関連アーティストの公演、チケット情報を提供しています。

 さて、冒頭も申し上げましたが、メディアプラットフォームの構築にあたっては、技術、権利処理、ビジネスモデルが重要と申し上げましたが、言うまでもありませんが、それらのベースになるビジョンが最も重要となると考えております。これらは、メディアプラットフォームの構築に限らず、すべてのプロジェクトで最も大切なことと考えています。

ご清聴ありがとうございました。

(質疑応答)
Q.エリア制限について、より詳細に具体的に聞きたい。
A.放送法では、免許を取得した域内に届ける義務があるが、域外に届けてはいけないという規定はありませんが、ただし、CMなどを中心に海外に送信されてしまうことに懸念があると考えています。

Q.ラジオ放送局での、利益や費用配分はどのようにされているのか。
A.人口比と聴取状況などから配分を行っている。

Q. タイムフリーできる番組とできない番組があるのか。
A.権利処理などの都合から、各ラジオ局の編成が決定している。

Q.コミュニティFMなどは参画しないのか。
A.難しいと考えている。

Q.アーティストの名前が変わったもの、グループのメンバーが変更にあった場合の、AC-ID
はどうするのか。
A.可能な限り追跡するが、グループのメンバー変更の反映などは難しいと考えている。

以 上

2018年度 第1回 デジタル・エコシステム研究会のお知らせ

日 時 : 

2019年1月11日(金)18:00-20:00

場 所 : 

関西大学梅田キャンパス 7階703室

       アクセスURL: http://www.kansai-u.ac.jp/umeda/access/

テーマ 「デジタル・エコシステムへの最適化を目論むニュースメディアの進化形
~アルジャジーラが仕掛けるデジタルオンリーメディア『AJ+(エージェープラス)』とは」

報告者:Jun Stinson氏(アル・ジャジーラ プロデューサー、映画監督)
モデレーター:脇浜紀子氏(京都産業大学)

 

概要:カタール拠点の衛星テレビ局のアルジャジーラ(Al Jazeera)が、2014年末に立ち上げた「AJ+(エージェープラス)」はデジタル配信のみに特化した、分散型メディアである。Facebook、Instagram、Twitter向けに、ショート動画クリップに字幕を有効に使って表現し、政治、国際問題、社会問題といったハードニュースを配信している。Facebookでは月間視聴回数が数十億回に達しており、2016年夏からはYouTubeへのシフトを進め、1話完結の映像作品や、調査報道シリーズなど、より充実した動画コンテンツの制作に力を入れている。
研究会では、AJ+のプロデューサーで、ドキュメンタリー映画監督でもあるJun Stinson氏をゲストスピーカーに迎え、AJ+の立ち上げからの経緯や、現在の戦略などを聞く。UC Berkeleyでジャーナリズムを学んだStinson氏だが、一時期、神戸に住んでいたことがあり、長田区のコミュニティラジオ・FMわいわいが彼女のキャリアのスタートである。多言語メディアの展開や、日米メディアの比較なども交えながら、ジャーナリズムのデジタル・エコシステムの展望を議論したい。
なお、プレゼンテーションとディスカッションは英語で行われる(通訳はなし)。

<参考サイト>
https://www.facebook.com/ajplusenglish/
http://www.junstinson.com
https://digiday.jp/publishers/early-facebook-video-adopter-aj-is-spending-more-time-on-youtube/
https://toyokeizai.net/articles/-/104195

<報告者プロフィール>

JUN STINSON


is an Emmy award-winning producer at AJ+. She's also the director of the independent documentary film "Futbolistas 4 Life" that was an official selection of SFFILM.
With twelve years of experience in journalism and media production, her work covers topics that include immigration, diasporas, transnational identity and the socio-political impacts of soccer.

Prior to AJ+, she was a post-production producer and editor for Al Jazeera America, and worked for a daily politics show on Current TV and on a docuseries for MSNBC. She has worked on the documentaries "The Save," for ESPN, and "Spark: A Burning Man Story" that premiered at SXSW.

Jun grew up in Oakland, California and Kobe, Japan. She got her start in journalism working with FMYY — a multilingual community radio station in Kobe. She helped FMYY and the World Association of Community Radio Broadcasters organize the largest independent media center at the 2008 Hokkaido G8 Summit.

Jun received her MJ from UC Berkeley's Graduate School of Journalism and her BA from Scripps College. When she's not working she's often spending time in the outdoors, traveling or hanging out around Oakland.