活動状況
2020年度 関西大会
「国際シンポジウム2020
Doubling of Reality
Everyday Lives in Post-Mobile Society」
開催期間:2020年10月2日(金)~16日(金)
開催場所:web会議 URL:
http://secondoffline.com/
主催:公益財団法人情報通信学会、
公益財団法人情報通信学会モバイルコミュニケーション研究会、
モバイルメディア社会と「セカンドオフライン」現象に関する社会学研究グループ
(関西大学研究拠点形成支援経費に基づく研究グループ)
後援:株式会社NTTドコモ
モバイル社会研究所、一般社団法人ブロードバンド推進協議会、
社会情報学会、モバイル学会、関西大学社会学部メディア専攻
【開催にあたって】
今年度の関西大会は、新型コロナウィルスによるパンデミック下のため、当初計画されていた国際シンポジウムとしての開催は叶わなくなってしまった。しかしながら、オンライン開催による新たな討議の可能性を探究するべく、われわれ研究グループは従来にない開催方式を採ることとした。異なる地域時間帯の研究者が同時に集まって議論する困難を克服しつつ、非同期の討議が可能となる、オンラインの書き込みによる意見交換の形式を生かすため、今回のシンポジウムの特設ウェブサイト「DoOR (=Doubling of Realityの略)」を開設する。そこにおいて、1回につき各2時間、計3回のリアルタイムセッションをおこない、それぞれのセッションの間をテキストベースの掲示板スレッド形式による2つのディスカッションで繋ぐスタイルを採用する。「DoOR」とは、場所の二重化、時間の二重化という、われわれの研究会が標榜する現代の情報社会の状況をそのまま反映できるような新しい研究討論の形式なのである。
【全体プログラム】
9月30日 招聘研究者講演映像公開
(基調講演)
Adriana de Souza e Silva(North Carolina State
University, USA)
(パネラー講演)
Nanna Verhoeff (Universiteit Utrecht, Netherlands)
Ingo Schulz Schaeffer (Technische Universität Berlin,
Germany )
Eric Lettkenmann (Technische Universität Berlin,
Germany )
安田登(下掛宝生流能楽師)
10月2日 第1回オンライン・リアルタイム・セッション
時間:22:00-24:00(Japan) 15:00-17:00(Europe)
9:00-11:00(NY/NC)
・趣旨説明(富田英典:関西大学教授)
・登壇者紹介
・ディスカッション
司会:岡田朋之(関西大学教授)
パネラー:Adriana de Souza e Silva(North Carolina State
University, USA)
Nanna Verhoeff (Universiteit Utrecht,
Netherlands)
Ingo Schulz Schaeffer (Technische Universität
Berlin, Germany )
Eric Lettkenmann (Technische Universität
Berlin, Germany )
安田登(下掛宝生流能楽師)
10月3日~6日 BBS(電子掲示板)での討論
10月9日 第2回オンライン・リアルタイム・セッション
時間:22:00-24:00(Japan) 15:00-17:00(Europe)
9:00-11:00(NY/NC)
・ディスカッション
司会:松田美佐(中央大学教授)
パネラー:Adriana de Souza e Silva(North Carolina State
University, USA)
Nanna Verhoeff (Universiteit Utrecht,
Netherlands)
Ingo Schulz Schaeffer (Technische Universität
Berlin, Germany )
Eric Lettkenmann (Technische Universität
Berlin, Germany )
安田登(下掛宝生流能楽師)
モデレータ:松下慶太(関西大学教授) 金暻和(神田外語大学准教授)
伊藤耕太(関西大学非常勤講師・マーケティングプランナー)
10月11日~13日 BBS(電子掲示板)での討論
https://secondoffline.com/door/bbsv.php?n=1
10月16日 第3回オンライン・リアタイム・セッション
時間:21:00-23:00(Japan) 14:00-16:00(Europe)
8:00-10:00(NY/NC)
・全体司会:藤本憲一(武庫川女子大学教授)
・総括討論 Adriana de Souza e Silva(North Carolina State
University, USA)
富田英典(関西大学教授)
・全体ディスカッション
パネラー:Adriana de Souza e Silva(North Carolina State
University, USA)
Nanna Verhoeff (Universiteit Utrecht,
Netherlands)
Ingo Schulz Schaeffer (Technische Universität
Berlin, Germany )
Eric Lettkenmann (Technische Universität
Berlin, Germany )
富田英典(関西大学教授)
モデレータ:松下慶太(関西大学教授)
金暻和(神田外語大学准教授)
伊藤耕太(関西大学非常勤講師・マーケティングプランナー)
・閉会挨拶:岡田朋之(関西大学教授)
〇懇談会(追加開催決定) ※2020年10月12日更新
時間:日本時間23:00-01:00(欧州中央時間16:00-18:00、米国東部時間10:00-12:00)
どなたでも参加できます(要申込)。日英通訳付き。
基調講演ゲスト、パネリストらとの自由な歓談をお楽しみください。こちらのリンク先よりお申し込みの上、
各自飲み物、スナック等を手にご参加ください。
事前申込サイト: https://secondoffline-gathering.peatix.com/
参加費 : 無料
参加方法: http://secondoffline.com/ よりご参加ください。
※参加される場合は、参加登録を必ず行っていただきますようお願いいたします。
※参加登録方法は9月30日16時からリンク先トップページにてバナーが表示される予定です。
・参加者登録は不要となりました。
・基調講演ゲストとパネリストの動画をご覧頂いた上で、セッション当日にリンクから入室してください。
※2020年10月1日更新
【要旨】
スマートフォンなどの移動体通信の普及により、人々は日常生活において常にネット上のオンライン情報を参照するようになった。本シンポジウムでは、このような現象をセカンドオフラインと呼ぶ。iPhoneの発売を契機にフィーチャーフォンからスマートフォンへの移行が始まった。人々はスマートフォンを使って、簡単にインターネットにアクセスすることができるようになった。さらに、Facebook,
Twitter, WhatsApp, LINE,
Instagramなどのソーシャルメディアが大衆化し、多くの人びとが日常生活(リアル/オフライン)において常にネット上の情報(バーチャル/オンライン)を参照するようになったのである。ポケモンGOを可能にしたモバイルAR技術の登場は、セカンドオフラインの姿を明確にしてくれた。
セカンドオフライン社会では、人々の時間と場所の感覚にも変化が生まれている。私たちは「同じ時間にふたつの場所に存在する」ことはできない。しかし、それを電子メディアが可能にした。メディアが異なる二つの場所を重ねることを可能にしたのである。Paddy
Scannell(1996)は放送メディアに注目しこのような現象をDoubling of
Placeと呼んだ。さらに、Shaun
Moores(2012)は、インターネットやスマートフォンにおいても同種の現象が出現しているとし、Doubling of
Placeの概念を再評価した。ただ、二重化しているのは「場所」だけではない。「時間」も二重化している。本シンポジウムでは、それをDoubling
of
Timeと呼びたい。エミー賞を受賞したiPhoneのテレビCM『Misunderstood』(2013)や新海誠のアニメ映画『君の名は』(2006)、米国映画『The
Lake
House』(2006)では「時間の二重化」現象が描かれ人気を集めた。そこでは、「場所の二重化」が一種の理想として描かれている。「時間と場所の二重化」は、すでに現代社会の様々な場面に出現している。本シンポジウムでは、セカンドオフライン、Doubling
of Time / Placeという分析枠組みを設定し議論を行う。
セカンドオフラインという状態に発生するDoubling of Time /
Placeについての研究は日本ではまだ少ないが、海外では増えつつある。このシンポジウムでは以下の5名の研究者を招待する。その研究者はAdriana
de Souza e Silva、Nanna Verhoeff、Ingo Schulz-Schaeffer、Eric
Lettkemann、 安田登氏である。Silvaはmobile communication
研究をリードする研究者であり、Hybrid Reality、Net locality、Hybrid
Playという概念で同種の現象を説明しようとしている。彼女には基調講演を依頼している。Verhorffは移動性の土台である物質性について論じている。彼女は、都市空間のスクリーンというキーワードを掲げながら、主体の視覚的経験と操作実践が時空間の社会的あり方を変容させつつあることについて論じている。Schaeffer
and
Lettkemann(2020印刷中)は、ベルリンと東京でのエスノグラフィーやインタビュー調査にもとづき、Locative
Media利用によって生み出される公的都市空間の新しい配置関係について研究している。彼らの研究プロジェクトの焦点は、Foursquare、Tabelog、
IngressなどのLocative
Mediaアプリが都市の日常生活における公的空間の占有をどのように補強または修正するかにある。能楽師の安田登(下掛宝生流能楽師)は能や六義園とARの関係について注目し、能ワークショップや寺子屋「遊学塾」を主宰し、舞台だけでなく、対談や講演を行うなど、いまこの分野で最も注目されている。本シンポジウムではこの5名を招待し議論を深めたい。
ここでの議論がこの分野の今後の研究の発展に寄与することを期待したい。
※本シンポジウムは公益財団法人情報通信学会2020年度関西大会として開催する。
※本シンポジウムは2019-2020年度関西大学研究拠点形成支援経費(研究課題:モバイルメディア社会と「セカンドオフライン」現象に関する社会学研究、研究代表者:富田英典)の助成を受けて実施する。